絵を描く効果とは|心と脳が整う、ちょっと意外な5つの理由【大人のための解説】

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Aさん
Aさん

絵を描くと、なんだか気分がすっきりする気がする。あれって、何でなんだろう?

最近どうも気持ちが晴れない。何か手を動かすことで、心を整えられたら——そんな思いで「絵を描く効果」を調べている方も多いのではないでしょうか。

ただ、検索して出てくるのは「集中力が上がる」「右脳が活性化する」といった、どこか似たような効果ばかり。それも本当なのですが、絵を描くことの本当の良さは、もう少し違うところにある気がしています。

この記事では、大人が絵を描くことの、ちょっと意外な5つの効果を紹介します。月4回ペースで5年以上美術館に通い、絵を見てきた私自身が、実際に手を動かして気づいたことも交えながら。

結論を先にお伝えすると、上手く描けることは、まったく重要ではありません。その理由を、これからお話しします。

絵を描くことの、ちょっと意外な5つの効果

絵を描くことには、上達や才能とは関係のない、心にうれしい効果がいくつもあると言われています。ありきたりな「◯選」とは少し違う角度から、5つ紹介していきます。

①「上手く描こうとしない」ほど心がほどける(評価からの解放)

私たちは普段、いつも何かを「上手い・下手」「正解・不正解」で測られながら生きています。

絵を「上達のため」ではなく、ただ「描くため」に描いてみると、その評価のものさしから、すっと降りることができます。誰かに見せるわけでも、点数がつくわけでもない。上手く描こうとしないことそのものが、心をほどく入り口になります。

絵が上達する方法を説く記事は山ほどありますが、実は「上達を目指さない絵」にこそ、心を整える力が宿っているのです。

②描いている最中、悩みごとが頭から消える(没入)

ぐるぐると同じ悩みが頭を巡って止まらない——そんな経験は、誰にでもあると思います。

線を引く、色を塗る。そうした単純な手の動きに意識を向けていると、いつのまにか悩みごとが頭から消えている瞬間が訪れます。意識が「今、手を動かしていること」だけに戻り、思考のループがふっと一時停止する。これは瞑想に近い状態だと言われています。

難しい呼吸法を覚えなくても、ただ手を動かすだけで「今ここ」に戻れる。絵を描くことは、手軽なマインドフルネスでもあるのです。

③名画を真似て描くと、見るだけでは気づけないものに気づく(鑑賞×制作)

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。

好きな絵を「見る」のと、実際に「真似て描いてみる」のとでは、見えてくる世界がまるで違います。私自身、気に入った絵を真似て鉛筆を動かしてみたとき、見ているだけでは素通りしていた発見がいくつもありました。

たとえば、何気ないかたちが、なぞってみると驚くほど面白い形をしていたこと。あるいは、ぱっと見は大胆に見えた筆づかいが、実は一本いっぽん、とても繊細に積み重ねられていたこと。手を動かして初めて、「この線は、こういう順で引かれたのかもしれない」と、描いた人の手つきにまで思いが及びます。

不思議なもので、一度そうやって描いてみると、その絵が自分のものになったような感覚が残ります。次に美術館で本物を見たとき、見え方そのものが変わっているのです。鑑賞と制作を行き来することで、絵を味わう解像度が静かに上がっていきます。

この「真似て描く」を、もっと心を整える時間として楽しむ具体的な方法は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
「アートセラピーのやり方5選|自宅で今日からできる心の整え方」

④描いた絵は”その日の感情の記録”になる(後から眺める効果)

描いた絵を、しばらく経ってから見返してみると、面白いことに気づきます。その日の気分が、線の強さや選んだ色に、そのまま残っているのです。

慌てて描いた日の線は荒く、穏やかな日の色はやわらかい。絵は、言葉にしないまま、その日の自分の感情をそっと記録してくれます。日記のように、過去の自分の気持ちと、安全な形で再会できるのです。

うまく言葉にできない気持ちこそ、絵にして残しておく価値があるのかもしれません。

⑤久しぶりに描くと、「できない自分」を楽しめる(大人の余白)

大人になると、私たちはいつも「できること」を求められ続けています。仕事でも家庭でも、上手くこなすのが当たり前。

そんな日々の中で、子どもの頃ぶりにクレヨンを握り、下手な絵を描いてみる。すると、「できなくていい」場所に、ひさしぶりに身を置けます。上手にできない自分を、責めるのではなく、むしろ面白がれる。

何かが上達するわけではありません。でも、できない自分をそのまま楽しむ時間は、肩の荷を下ろすような心地よさをくれます。これもまた、絵を描くことがくれる、ちょっと意外な贈り物です。

効果を実感するための簡単なコツ

ここまで読んで「ちょっと描いてみようかな」と思ったら、あとは始めるだけです。でも、その一歩で多くの人がつまずきます。効果を実感するための、ささやかなコツを3つ紹介します。

①「作品を作ろう」としない……ノートの端の落書きで十分

いざ描こうとすると、つい「せっかくだから、ちゃんとしたものを描かなきゃ」と身構えてしまいがちです。そして道具をそろえているうちに、結局始められずに終わってしまう。

でも、心を整えるための絵に、立派な道具も完成度もいりません。手元のノートの端に、ボールペンでぐるぐると落書きする。それで十分なのです。落書きほど、評価から自由なものはありません。下手も正解もない一本の線が、肩の力をふっと抜いてくれます。

②まとまった時間を待たない……5分・1色からでいい

「じっくり描くなら、休日にまとまった時間ができてから」。そう考えているうちに、その日は永遠にやってきません。

没入は、時間の長さとは関係なく訪れます。5分でも、たった1色でも、手を動かし始めれば、意識は自然と「今」に向かいます。むしろ短い時間のほうが、気負わずに始められるものです。寝る前の5分、コーヒーを待つあいだ。その小さな隙間が、心を整える時間になります。

③描いた後、上手い下手をジャッジしない……ただ眺めるだけ

描き終えたあと、つい「やっぱり下手だな」とダメ出しをしていませんか。これは、せっかく生まれた効果を、自分で打ち消してしまうもったいない習慣です。

描いたものは、上手い下手でジャッジせず、ただ眺めてみてください。そこにあるのは、作品ではなくその日のあなたの感情の記録です。点数をつける対象ではなく、後から眺めて「こんな気分だったんだな」と振り返るためのもの。判断を手放すことが、絵を描く効果を最後まで受け取るコツです。

具体的に何から描き始めればいいか、もう少し方法を知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
「アートセラピーのやり方5選|自宅で今日からできる心の整え方」

もっとアートで心を整えたい人へ

絵を描くことは、上手い下手とは関係なく、心を整える小さな習慣になってくれます。ここまで読んで、その入り口に立てたなら嬉しいです。

「描く」ことに心がほどける効果があるように、「見る」ことにも、私たちの心をやわらげる力があります。美術館に行くとなぜか癒される、その理由を掘り下げた記事もあるので、あわせて読むと、アートと心の関係がより立体的に見えてくるはずです。
「美術館が癒しになる5つの理由|心を整えるミュージアムの歩き方」

そして、「描く」をもう少し心のケアとして実践してみたくなったら、自宅で今日からできる具体的な方法をまとめた記事があります。紙とペンさえあれば始められるので、この記事で気になった効果を、実際に試してみてください。
「アートセラピーのやり方5選|自宅で今日からできる心の整え方」

さらに、アートと心の関わりを体系立てて深く学びたくなったら、専門的に学べる講座という選択肢もあります。ただ、まずは気軽な一本の線から。難しく考えず、手を動かすところから始めてみてください。

まとめ

大人が絵を描くことの、ちょっと意外な5つの効果を紹介してきました。最後に振り返っておきましょう。

評価からの解放……上手く描こうとしないほど、心はほどける
没入……手を動かすうちに、悩みごとが頭から消える
鑑賞×制作……真似て描くと、見るだけでは気づけないものに気づく
感情の記録……描いた絵は、その日の気分をそっと残してくれる
大人の余白……できない自分を、責めずに面白がれる

こうして並べてみると、どれも「上手く描くこと」とは関係がないと気づきます。むしろ、上手さや正解から少し離れたところにこそ、絵を描くことが心にくれる贈り物があるのです。

身構える必要はありません。きれいなノートも、特別な道具もいらない。まずは一本、線を引いてみる。それだけで、心はほんの少し軽くなります。今日の気分を、そのまま手に委ねてみてください。

よい時間を。

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