2022年10月から12月にかけて、東京・山種美術館にて「【特別展】没後80年記念 竹内栖鳳」が開催されました。
11月末に観覧は叶ったものの開催期間中に記事を書くことが出来なかったのですが、内容は竹内栖鳳と彼を巡る京都画壇の名品に一挙に触れられる充実した展覧会でした。特別展ではありますが、山種美術館所蔵の作品が多く、竹内栖鳳とその周辺の京都画壇を特集したコレクション展の性格も兼ね備えています。
今後への備忘録的な意味も込めて、特に印象に残った作品について簡潔に書き残しておきたいと思います。
《班猫》1924年(山種美術館蔵)[重要文化財]
猫。 背を向けたまま、上体をひねってこちらを見返しています。その美しい青緑色の瞳に吸い込まれそうです。毛並みも美しく、撫でてやりたくなります。落款の位置も見事で、絵の一部になっています。
《緑池》1927年頃(山種美術館蔵)
蛙。池を今まさに泳いでいます。動きのある足の形や、水面に透けているその見せ方が瀟洒です。蛙の表情を見ていると、作者の生き物に対する愛が感じられます。
《風かおる》1937年(山種美術館蔵)
燕。柳の枝で羽根を休ませています。何も描かれてない余白の扱い方が絶妙です。風の流れや枝葉の揺れを想像させてくれます。
《潮来小暑》1930年(山種美術館蔵)
水郷。舟に乗った人と牛が営む景色は詩趣に富んでいます。竹内栖鳳は、「水郷」の絵が素晴らしいのだと、隣にいたおじいさんが教えてくれました。茨城・潮来(いたこ)は水郷で有名な土地。なるほど、草木のぼかした描き方が、水村の風情豊かさを引き立てています。
山元春挙《清流》1927-33年頃(山種美術館蔵)
渓谷。水流の清涼感に癒されていると、画面中央に小さな何かを発見。鳥です。谷間を滑翔する姿は、この絶景を謳歌しているよう。
竹内栖鳳をめぐる人々の中で最も印象に残った、同時代に京都画壇で活躍した山元春挙の作品を取り上げました。
以上になります。
拙文最後までお読みいただきありがとうございました。
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