こんにちは、あしあです。
国立西洋美術館で開かれている展覧会『自然と人のダイアローグ』から帰ってきたので、そのお話をします。
予習
展覧会について
近代ヨーロッパの「自然」を描いた作品を巡る展覧会です。
国立西洋美術館とドイツ・フォルクヴァング美術館によるコラボレーション企画となっています。
国立西洋美術館のリニューアルオープンを記念して開催されました。
フォルクヴァング美術館と国立西洋美術館は、個人のコレクションが設立の基礎となっている点、第二次世界大戦により苦難を経験した点が共通しています。
目玉作品は、ゴッホ《刈り入れ》、モネ《睡蓮》、フリードリヒ《夕日の前に立つ女性》、リヒター《雲》など。
国立西洋美術館の特徴
フランス政府から寄贈返還された「松方コレクション」を基礎に、広く西洋美術全般の流れを展望できる国立美術館です。
現存の松方コレクションはゴッホやモネ、ロダンなどの近代フランス美術が中心となっています。
建築家ル・コルビュジエによって設計された美術館の建物が世界文化遺産に登録されたことで覚えている人もいるかもしれません。
代表的な所蔵品は、モネ《睡蓮》《舟遊び》、ロダン《考える人》。
鑑賞
この展覧会では、「自然」と向き合った西洋画家たちの葛藤と実現を知ることができました。
第1章 空を流れる時間
「自然」って絶えず変化し続けるものですよね。
天候や時間帯、季節によって光は変化し、自然の様子はどの瞬間もが唯一無二となる。
そう、それは先日紹介したブライアン・イーノのインスタレーションのように。
第1章「空を流れる時間」では、そんな時の移ろいを一枚のカンヴァスに収めようとした作品が並びます。
注目したのは、ゲルハルト・リヒターの《雲》。
捉えたくても捉えきれない、もどかしさのようなものを僕はそこに感じました。
あなたは何を感じましたか?
第2章 〈彼方〉への旅
第2章「〈彼方〉への旅」で見ておきたいのは、フリードリヒの《夕日の前に立つ女性》です。
ドイツ・ロマン主義を代表する作家というので、目に焼き付けておきました。
この章では、自然との対話の先に目に見える姿を超えて、目に見えないものを表現しようとした作品が並びます。
第3章 光の建築
僕がいちばん長く過ごしたのは、第3章「光の建築」です。
この章では自然を本質から見つめて自らの内に得た感覚や法則性を表現しようとした作品が並びます。
セザンヌの《ベルビュの館と鳩小屋》は草木の匂いが漂ってくるような筆使いでしたし、《ポントワーズの橋と堰》ではヨーロッパの原風景のなか近代化の足音が聞こえてきました。
筆使いでいえば、シニャックの《サン=トロペの港》は是非近くで見ていただきたい特徴的な描き方でした。
また、ホドラーの《モンタナ湖から眺めたヴァイスホルン》は雲や波のリズミカルな動きが印象的でした。
没入感のある作品が多いゾーンでしたね。
第4章 天と地のあいだ、循環する時間
最後は、季節のような自然の時間的循環、その中を巡る生命の循環に着目した作品たちの章。
モネの《陽を浴びるポプラ並木》では新緑の葉から色づいていく葉まで表現されています。
ゴッホの《刈り入れ》は生の終わりのイメージを日が昇っている明るい中で描いています。
大トリを飾るのは、モネの《睡蓮》。
国立西洋美術館の代表的な所蔵品ですからじっくりと見ておきましょう。所要時間は約90分でした。
全体を振り返ると、風景画というのは単に自然の姿が描かれているのではありませんね。
自然と向き合うなかで得た作者の”気付き”が落とし込まれているのです。
作者はこの自然との対話で何に気付いたのだろう。
そんなことを考えながら観るのも、風景画を楽しむコツかもしれません。
そしてなんと言っても、自然との向き合いは心が落ち着き、癒されますね。
自然が好きな家族を連れて行ってあげると、とても素敵な時間が過ごせると思います。
最後にひとこと
風景画は、作者の”気付き”に耳を傾けよう
最後まで読んでいただきありがとうございました!
あしあより
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