【ミュシャ展】マルチ・アーティストのミュシャに学ぶ仕事術【美術館「えき」KYOTO】#29

企画展

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「ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者」

2023年2月から京都の美術館「えき」KYOTO(ほか巡回予定あり)にて開催された展覧会です。アール・ヌーヴォー代表画家であるアルフォンス・ミュシャの多彩な仕事ぶりを紹介しています。

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ミュシャの作品は、ポスターしか知らない……

そのようなイメージが強いですよね。今回の記事では、展覧会を実際に見に行ってきた私の体験を基に、マルチ・アーティストとしてのミュシャから学んだことについて書きたいと思います。

この記事を読めば、ミュシャの優れた仕事術が分かるので、あなたのキャリアアップにもきっと役立つヒントを得られます。

結論から言うと、ミュシャは、単なるポスター画家ではなく、自分を広報して仕事領域を拡大する能力に長けた優秀な仕事人だったと思います。

具体的に取り上げる展示作品はこちら!順を追って解説します。

マルチ・アーティストのミュシャに学ぶ仕事術

アール・ヌーヴォーの置時計の胸像《四季:春》

ポスター《ジスモンダ》1894年(チマル・コレクション)

大女優サラ・ベルナールが出演する演劇のポスターです。無名の挿絵画家だったミュシャは、「ポスター」という、周囲に大きく役に立つ分野を見つけました。

花の髪飾りと宗教的な衣装を身につけて、手に持った象徴的な葉を見つめる女性。立っているのは、「ルネサンス座」の舞台の上。華やかな女優の表情は情感たっぷりで、名場面が描かれているようです。背景にデザインされた、作品名と女優名の文字やアーチの装飾が、作品世界の雰囲気を伝えています。

女優の舞台姿を、場面の雰囲気とともに魅力的に描く。ミュシャは、この作品で自分の仕事の立ち位置を見つけています。

余談ですが、サラ・ベルナールは1844年生まれなので、このポスター制作時は50歳と言うことになります。劇中人物を描いているとはいえ、随分と若々しく描かれているように見えます。ここから、顧客に喜ばれることを徹底するミュシャの仕事ぶりがうかがえます。

ポスター《黄道十二宮》1896年(同)

横顔の美しい女性のポスター。独自の様式をしっかりと固めて、分かりやすく伝えています。

この作品には、以下のようなミュシャ作品の特徴が集約されています。

  • 植物など自然界の優しい形を基にした文様装飾
  • 理想化された美しい女性像と装飾具
  • 女性の髪などの曲線的で柔らかな線のデザイン
  • 平面的で調和のとれた画面と色彩の構成

まさに自分の名刺のような作品を完成させています。ミュシャは、自分の仕事を広報する術を知っているようです。

連作装飾パネル《四季:春、夏、秋、冬》1896年(同)

女性像で春夏秋冬をそれぞれ表現した4連作の装飾パネル。人気を得たポスターの様式はそのままに、宣伝文字を取り除いて、汎用性を高めています。

女性の髪を飾っているのは季節の花のようで、洒落ています。表情も季節の気分が表れていて、繊細な表現です。腰などの体のラインが優しく柔らかで、女性的なイメージを強めています。優雅で洗練されたイメージを与えるパネルです。

こうした装飾パネルは、お菓子のパッケージなど、のちにさまざまな商業製品の図案に採用されました。ミュシャは、成功要素をきちんと押さえて仕事を拡大しています。

装飾皿《ビザンティン風の頭部》1898年(同)

ブロンドとブルネット2枚1組の壁掛け装飾皿。もともと装飾パネルとして考案された図案を使用しています。

縁飾りは特別で、丹念に施されていて、装飾皿という新たな仕事への情熱を感じます。ミュシャが描く女性の横顔と髪は相変わらず美しい。ビザンティン風の装飾具を見て、何か思い当たる作品はありませんか。実は、《ジスモンダ》のあの衣装もビザンティン風の刺繍が施されています。人気の要素を繰り返し取り入れるのがミュシャの手法です。

アール・ヌーヴォーの置時計(ジャピ兄弟工房製)の胸像《四季:春》1899年(同)

置時計の上に設置された女性の胸像。工芸品に参入しています。

立体作品に変わっても、優しい曲線は生かされています。他にも香水瓶やブローチなどさまざまな形の作品が展示されていました。優美なデザインで、ミュシャは暮らしに花を添えてくれます。

ミュシャは、このように仕事の分野を広げて、アール・ヌーヴォーのリーダーシップを取りました。

今回の紹介は以上です。

さらにミュシャ作品をご自宅で楽しみたい方は、こちらの本がおすすめです。

「アール・ヌーヴォーの華 アルフォンス・ミュシャ 代表作から知られざる初期作品、習作まで」

アルフォンス・ミュシャ (著), 堺 アルフォンス・ミュシャ館(公益財団法人堺市文化振興財団) (著, 編集)

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