【東京国立近代美術館】MOMATコレクションで絶対に見ておくべき作品7選【常設展】#12

常設展

東京国立近代美術館の常設コレクション展「MOMATコレクション」を見学してきました。

東京国立近代美術館のコレクション展でまず驚くのが、その規模。

出品作品は約200点あります。

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数が多すぎて、見どころが分からない…

そんな方もいらっしゃるでしょう。

企画展の後に立ち寄ろうとしたら、企画展より出品数が多かったりして、またの機会にと先延ばしする気持ちもわかります。

でも東京国立近代美術館に来たら、「MOMATコレクション」を観て帰らないと損をします。

なぜなら、日本の近現代美術の流れを学ぶ絶好の機会だからです。

そこで今回は、私が実際に見た作品の中から、東京国立近代美術館で絶対に見ておくべきコレクションを厳選してご紹介します。

東京国立近代美術館で見ておくべきコレクション7選

原田直次郎《騎龍観音》

日本画の画題である観音様と龍が西洋の油絵で描かれています。白い布や龍のうねり、風雲などにリアルさ。龍の目は威圧的ではなく、むしろ純真です。

原田直次郎は、ドイツで西洋画を本格的に学び、帰国後この絵を描きました。当時の日本は、西洋画の受け入れに対する抵抗が強く、日本人の目に馴染ませる意図があったようです。龍の顔つきも、それが関係しているかもしれません。西洋絵画受容の初期の例として、重要文化財に指定されています。心が揺さぶられるというわけではありませんが、初代の近現代日本美術として、一度実際に見ておきたい作品です。

竹内栖鳳《雨霽》

雨上がりの一場面を切り取った六曲一双の屏風絵。風になびく柳の枝葉は、コローが描く木立を思わせるものがあります。雨宿りが終わった鷺は喜びに満ちていて、なんだか微笑ましい。

竹内栖鳳は、円山四条派を土台に、西洋の写実的表現手法を取り入れ、土田麦僊、上村松園、小野竹喬など数多くの弟子を育てました。近代京都日本画の父として要注目の存在です。

萬鉄五郎《裸体美人》

半裸の女性が草原に寝そべってこちらをじっと見ています。腋毛の印象が強烈です。今の私が見てもそう思うのですから、当時の目にはさぞ個性的に映ったでしょう。

萬鉄五郎は、東京美術学校(現・東京藝術大学)の卒業制作でこの作品を残しました。時代は、雑誌「白樺」の最盛期。ゴッホに端を発する表現主義の紹介が、若い美術家に刺激を与えていた頃です。日本の前衛美術運動の突破口となった作品です。

ちなみに、同館コレクションの《太陽の麦畑》は、ゴッホらしさをより受け継いだ作風で、馴染みやすいでしょう。

岸田劉生《道路と土手と塀(切通之写生)》

目の前に急斜面の坂が立ちはだかっています。容易に登り切れそうにはありません。造成されてない土の細かな描写にズームインすると、土がモコモコと隆起して、目を圧迫します。東京の土地が持つエネルギーを感じます。

萬と同時代の岸田劉生は、ゴッホやセザンヌら後期印象派の影響を受けた後、デューラーファン・エイクら北方ルネサンスに魅せられました。萬とは正反対のアプローチ、すなわち写実の伝統に遡ることで、かえって独創的な表現を獲得しています。

《麗子肖像(麗子五歳之像)》には、北方ルネサンスの細密描写の影響がより顕著に表れています。

梅原龍三郎《北京秋天》

中国の都の眺めを描いた風景画です。空と木々と建築群の色が見事に調和しています。

梅原龍三郎は、フランスでルノワールに色彩の才能を認められ、帰国後その豊かな色彩感覚を油絵で表現しました。日本画の伝統的な装飾性と尊敬する富岡鉄斎の奔放な画風を取り入れて、日本洋画を成熟させました

神原泰《スクリアビンの『エクスタシーの詩』に題す》

これは、いわゆる抽象画です。色や筆触から、秩序ある心の動きが感じられ、見ていて心地よい絵です。題名にあるロシアの楽曲を聴いた体験を表現しているそうです。

神原泰は、この作品のように、音楽を感じさせる絵画を目指したカンディンスキーの影響を思わせます。日本の抽象表現主義の草分けとなりました。

高松次郎《No.273(影)》

真っ白な画面に影が描かれています。この作品は、芸術の在り方そのものを見ている人に問いかけます。すなわち、何が作品で、何が作品ではないかです(それは鑑賞者の影かもしれない)。

高松次郎は、日本におけるコンセプチュアル・アートを開拓し、1960年代以降の日本現代美術を牽引しました。その作品は欧米でも高く評価されるまでになっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。この記事が東京国立近代美術館を活用して近現代の日本美術を理解する一助になれば幸いです。

なお、「MOMATコレクション」は年3回展示替えが行われるため、ここで紹介する作品をまとめて見ることはできないかもしれません。企画展に併せて、定期的に覗いてみる楽しみ方がおすすめです。

私も、未見で今後絶対見たいコレクションが沢山あります!最後にそちらを記して、この稿を閉じたいと思います。(見ることができたら、また更新しますね。)

  • 菱田春草《王昭君》,《賢首菩薩》
  • 横山大観《生々流転》
  • 下村観山《木の間の秋》
  • 上村松園《母子》
  • 川合玉堂《行く春》
  • 土田麦僊《湯女》
  • 東山魁夷《道》,《残照》,《青響》

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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[参考文献]

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