【マリー・ローランサンとモード】気になった絵5選【美術鑑賞のやり方】#36

企画展

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今回行ってきた展覧会はこちら!

「マリー・ローランサンとモード」

2023年4月から京都市京セラ美術館で開催されました(Bunkamura ザ・ミュージアムから巡回)。

約100年前のパリのアート&ファッション界へ外遊するような素敵な展覧会です。

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マリー・ローランサン作品の見どころは?

そんな方のために、この記事では、実際に展覧会を見に行ってきた体験を基に、マリー・ローランサンの魅力を私なりに感じることができた作品を5点選んで紹介します。

この記事を読むことで、マリー・ローランサンの傾向や特徴を知り、あなたの美術鑑賞の参考にしてもらえれば嬉しいです。

結論から言うと、私が感じたマリー・ローランサンの絵の魅力は、女性的な色彩や形によって作られた世界です。

具体的に取り上げる作品はこちら!順番に解説します。

「マリー・ローランサンとモード」(京都市京セラ美術館)で気になった絵5選

《優雅な舞踏会あるいは田舎での舞踏》(マリー・ローランサン美術館蔵)

マリー・ローランサン《優雅な舞踏会あるいは田舎での舞踏》1913年(マリー・ローランサン美術館蔵)

弦楽器を弾く人物と踊る二人の女性。

ダンスのペアは男女ではなく、女性同士で、女性が主役の世界が繰り広げられています。

手足や指がすらりと長く、シュッとした小顔で、垢抜けた女性に見えます。ピンク、グレー、緑、青の淡い色彩が使われていて、甘美です。足先やスカートの裾の形にひねりがあり、躍動感を与えています。

所々に幾何学模様が見られ、マリー・ローランサンもキュビズムの影響を受けていたことが垣間見えます。民族的な楽器やそれを弾く女性の印象深い目が、どことなくピカソを思わせませんか。

マリー・ローランサン《牝鹿と二人の女》1923年(ひろしま美術館蔵)

バレエのような衣装をまとった二人の若い女性。

雌鹿とともに作る三角形の構図が安定しています。

「私たち見られてるわよ。」こちらを見透かしたような二人の表情から、その関係は仲の良い女友達か姉妹のように見えます。

右側のピンクの縦長の形態は何でしょうか。この絵もまたピンク、グレー、青、緑のパステルカラーで作られた、優美で空想的な世界です。

マリー・ローランサン《黒いマンテラをかぶったグールゴー男爵夫人の肖像》1923年(パリ、ポンプドゥー・センター蔵)

黒いスカーフを頭に巻いた貴婦人。

白い肌が陶器のようになめらかです。そして、黒が女性を美しく見せています。マリー・ローランサンの描く女性肖像は、帽子など流行の服飾が特徴的で、ファッションを楽しむモダンガールの時代性が映されています。

一方で、青い大きな瞳はうつろで、空想にふけっているようで、夢見がちな女性のように描かれています。

マリー・ローランサンの肖像のもう一つの特徴に、動物がよく描かれることがありますが、この絵には白い鳥(鳩?)がピンクの枝に止まっています。色、線、形こそが女性的な、マリー・ローランサンならではの世界です。

マリー・ローランサン《マドモアゼル・シャネルの肖像》1923年(パリ、オランジュリー美術館蔵)

マリー・ローランサンと同年に生まれ、成功を収めた女性ファッションデザイナーの肖像画。

淡い色調の画面を、黒いスカーフがやさしく引き締めています。恒例の動物は、鳥、鹿(?)、犬の豪華3種。

アンニュイな女性のように描かれていて、ローランサンの主観が見え隠れします。少なくとも、時代を代表する気鋭のデザイナーという印象はありません。

依頼したココ・シャネルはこの肖像画を気に入らなかったそうですが、その理由はなんとなく分かる気がします。以降、二人は不和になったそうです。

マリー・ローランサン《鳩と女たち》1919年(パリ、ポンピドゥー・センター蔵)

パレットを持つ女性と背後から寄り添う女性。

前者はマリー・ローランサン自身で、後者は「モードの帝王」と称されたポール・ポワレの妹で、同じくファッション・デザイナーのニコル・ポワレ(ニコル・グルー)なのだそう。

妖艶なグルーと、それに応じるローランサンの目から漂う親密な雰囲気に、女同士の友情を超えた関係性が垣間見えます。

パレットには鳩が乗り、そこに流れる平和な時間を象徴しているようです。

同じくニコル・グルーをモデルにした《ニコル・グルーと二人の娘、ブノワットとマリオン》(1922年、マリー・ローランサン美術館蔵)では、全体がピンクとグレーのやさしい色彩に包まれていて、彼女へのローランサンのまなざしが愛情と祝福に満ちていることが伝わります。

マリー・ローランサンの作品は、彼女の人脈や交友関係と密接に結びついているのです。

いかがでしたでしょうか。

皆様もぜひ好きな絵を見つけて、日常をより豊かにしてください。マリー・ローランサンに興味をお持ちの方は、マリー・ローランサンの作品集を買っておきましょう。

なぜ作品集が必要かというと、本当に好きな絵と出会うには、気になっている作家の作品をまとめて見るのが効果的だからです。一定量の作品を見ることで、その作家の気になる特徴について、あなた自身のイメージをより明確にできます。

その特徴がよく表れた絵が、あなたにとって特別な作品になるはずです。美術館で実物を見る際にも、好きなポイントに集中して鑑賞することができますよ。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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