日本で二番目に古い公立美術館である京都市京セラ美術館。レトロな名建築で親しまれ、話題性のある特別展・企画展が頻繁に開催されています。

一方、常設展「コレクションルーム」の見どころは?
京都市京セラ美術館で常設されている「コレクションルーム」の特徴は、年に4回の展示替えが行われ、冒頭に四季を感じられる作品が並べられていることです。
とはいえ、おそらく多くの方にとって、なにより私自身、馴染みのない作家が多く、敷居が高い印象があります。
そこで今回は、京都市京セラ美術館に来た方にコレクションルームをもっと楽しんでもらえるように記事を書いてみました。
ぜひ最後までお読みください。
収集方針と京都画壇
まずは、京都市京セラ美術館がどのような作品をコレクションしているのか、その収集方針をみてみましょう。
京都市京セラ美術館の美術品の収集方針は、以下の通りとなっています。
日本文化の創造と継承の中心地である京都における近代以降の美術を展望できる総合的なコレクションを、世界的な視野に立って形成するために必要な作家の作品及び資料を計画的に継続して収集する。
1.近代以降の美術において重要な位置を占める作家の作品及び資料を収集する。
2.現代の美術において新たな展開を見せる作家の作品及び資料を収集する。
3.近代以降の美術に有意義な関連のある国内及び海外の作家の作品及び資料を収集する。
4.主要な作家については、作風の変遷を見ることができるように、各時期の作品を収集する。
5.上記の作品及び資料について、長期的な計画に従って毎年継続して収集する。
京都市京セラ美術館公式ホームページ
つまり、京都の近現代美術の重要な作家とその関連の作品を集めますよ、ということです。
そこで、近代の京都画壇の重要人物とその系譜を、所蔵作品とあわせて調べてみました。
一緒に学んでいきましょう。
竹内栖鳳
京都日本画の巨匠といえば、竹内栖鳳(たけうちせいほう)でしょう。実際に、京都市京セラ美術館には数多くの竹内栖鳳の作品が収蔵されています。京都市京セラ美術館においても、最重要の作家に位置づけられているとみてまず間違いなさそうです。
コレクションの中でも、とりわけ《絵になる最初》は、国の重要文化財に指定されており、京セラ美術館の顔とも言うべき作品です。展示されていたら幸運です。
竹内栖鳳は、沢山の弟子を育てました。一番有名な門下生は、上村松園でしょうか。女性として初めて文化勲章を受賞した日本画家で、美人画といえば上村松園の名が挙がるほど人気があります。京都市京セラ美術館では《人生の花》、《待月》などの作品を収蔵しています。
他にも、土田麦僊(所蔵品は《平牀》など)、小野竹喬(同《冬日帖》、《海》など)などの門下生がいます。
個人的には、小野竹喬の風景画はおすすめです。今夏に出会った《海》という作品の、大波の描写が素敵でした。小野竹喬の作品が出品されていたらぜひチェックしてみてください。
竹内栖鳳はまた、日本最初の美術学校である京都府画学校(現京都市立芸術大学)の卒業生でもあります。
幸野楳嶺
京都府画学校の設立の中心人物だったのが幸野楳嶺(こうのばいれい)です。幸野楳嶺は、四条派の塩川文麟の弟子でした。このことから、竹内栖鳳は円山・四条派を継承していると言われることがあります。幸野の収蔵品は、《帝釈試三獣図》などがあります。
楳嶺門下では、菊池芳文(《春の夕・霜の朝》)、谷口香嶠、竹内栖鳳、都路華香がなかでも優秀で、楳嶺四天王と呼ばれます。
京都市京セラ美術館では、菊池芳文の門下・菊池契月(《南波照間》、《少女》など)、またその門下の梶原緋佐子(《よもやま話》など)の作品を数多く所蔵しています。
浅井忠
こちらは洋画分野。浅井忠(あさいちゅう)(《グレーの柳》など所蔵)は、イタリアから招かれたお雇い教師のフォンタネージに西洋画の技術を学び、フランスでジャポニズムやアール・ヌーヴォーの芸術運動を目にした後、関西の西洋画壇の育成につとめました。京都高等工藝学校(現京都工芸繊維大学)の教授や聖護院洋画研究所、関西美術院を開いて後進を指導しています。
浅井忠の門下には、安井曽太郎(《粟田口風景》など)や梅原龍三郎(《秋山烟景》)がいます。梅原龍三郎はまた、日本最後の文人画の画人(職業画家ではない)である富岡鉄斎(《漁樵問答図》)の影響も受けています。
補足
工芸分野では、神坂雪佳(《漆画人物祭礼之図飾箱》など)の功績も見逃せません。琳派を継承したデザインで、京都の近代工芸の活性化を図りました。
まとめ
以上見てきたように、京都市京セラ美術館のコレクションは、京都画壇を軸に形成されていることがわかります。それゆえに、コレクションルームを観覧される際には、今回の京都画壇のポイントを押さえておくとより楽しめると思います。
この記事が少しでもあなたの助けになりましたら幸いです。
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