【憧憬の地 ブルターニュ】面白い展示5選【美術館の楽しみ方】#39

企画展

アートで心を動かして、人生を豊かにしよう!

今回行ってきた展覧会はこちらです!

『憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷

2023年3月から国立西洋美術館で開催されました(巡回無し)。フランス・ブルターニュ地方を舞台に描いた作品をモティーフに描いた作品を集めた作品を集めた展覧会です。

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ブルターニュ地方がなぜ特集されるの?

ブルターニュ地方は、フランスの辺境に位置しますが、実は西洋美術史において重要な土地なのです。本展は、それを理解するのにとても良い展覧会でした。

この記事では、実際に展覧会に行ってみて、興味深かった作品を5つ厳選して紹介します。

あくまで私が個人的に気になった作品なので、感想が違うところもあると思いますが、楽しんで読んでもらえたらと思います。

この記事を読むことで、美術史上重要なブルターニュ地方に関わる絵画の魅力を知り、あなたの美術鑑賞を充実させる一助となれば嬉しいです。

早速ですが、今回私が選んだ作品はこちらです。順番に解説していきます。

企画展「ブルターニュ展」(国立西洋美術館)の面白い絵5選

ポール・ゴーガン《海辺に立つブルターニュの少女たち》

ポール・ゴーガン《海辺に立つブルターニュの少女たち》1889年(国立西洋美術館蔵)

海辺の大地に立つ二人の少女。

身を寄せ合い、こちらを不思議がり、警戒する表情で、画家(あるいは私)はどうやらこの土地に馴染めていないようです。

着ている服はブルターニュの民族衣装でしょうか。素朴な感じがします。

大きくてたくましい裸足が特徴的で、ゴーガンの主題の一つである「野生的なもの、原始的なもの」のイメージを象徴しています。

純色に近い色彩が、くっきりと区切られた輪郭の中にまとまりのある面として塗られ、それぞれが対決するように配置されています。画面の色彩から力強さや緊張感が、しかし落ち着いて伝わります。

構図は、中心軸から重心が外れています。背景も遠近感が曖昧で、やや不安な気持ちにさせます。面白いのは誇張された波の形で、これは葛飾北斎の影響かもしれません。

エミール・ベルナール《ポン=タヴェンの市場》1888年(岐阜県美術館蔵)

地方の活気あふれる市場。

露店の内側の視点なのが面白い。カラフルな細いリボンが垂れ下がっていて、目の前の視界を遮っています。

リボン越しに見える広場は、修道女の伝統的な服装をした人たちで溢れていて、にぎわいが垣間見えます。

肝心の売り物が、黒い輪郭線に色とりどりの原色がベタ塗りされていて、独特です。何の野菜や果物か分かりづらく、豊かさのイメージだけが山積みされています。

ポール・セリュジエ《急流のそばの幻影、または妖精たちのランデヴー》1897年(岐阜県美術館蔵)

木立の間を勢いよく流れる小川。

こちらの岸に、慎ましい衣装を着た地元の人々がいます。

彼らが見ているのは向こう岸。木々で遮られた奥に、綺麗なドレスを着た伝承的な女性たちが行進しています。

一枚の絵の中に、目に見える現実の風景や人物と、目に見えない物語の情景が共存しているのが面白いのです。

モーリス・ドニ《水浴》1920年(国立西洋美術館蔵)

海水浴を楽しむ人々。

珍しい正方形のカンヴァスの画面全体に人物が広がり、活発で幸福感が溢れています。

舟の上の服を着た人々が現世的にも関わらず、裸の男性のポーズはなんだかギリシア美術の彫刻を想起させます。

みんなが一様に口元に浮かべる微笑みが、「アルカイック・スマイル」のようです。

現世的な明るい幸せを、古代ギリシア・ローマの世界観と重ね合わせているところが面白いと感じました。

山本鼎《ブルターニュの入江(水辺の子供)》1917年(東京国立近代美術館蔵)

入江の丘に立つ一人の少女。

少女の服装はやはりブルターニュ地方の伝統衣装です。木版画のシンプルな線が、ブルターニュ地方の持つ素朴さとよく似合っています。

消失点型ではない緩やかな遠近感の表現が日本的で、風景の穏やかさが感じられます。

ブルターニュ地方の奥深い風土と風習は、日本の画家たちにも創作のインスピレーションを与えたようです。たくさんの日本出身画家が紹介されていましたが、その中で個人的に興味深かった木版画の作品。

山本鼎は、複製を前提に伝統的な分業制が敷かれていた版画を、作家が全て自分で行う「創作版画」により、美術としての確立を志した人物です。自らの手で刷って着色したであろう山本鼎の彩色も素敵です。

日本人に馴染みの深い技法である木版画。ジャポニズムでパリを席巻した浮世絵も木版画です。

日本人が見て感じたブルターニュ地方の自然と人物が表れています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

みなさまもぜひ自分のお気に入りの絵を見つけてください。

どの絵に惹かれるかは、もちろん人によって違います。何に心を動かされたかを知ることは、自分自身の状態や価値観を知ることにもつながります。お気に入りの絵を見つけることで、自分の人生をより豊かにしてもらえたらと思います。

好きな絵を見つけるには、まずは作品集を買ってみましょう。ゴーガンならこれがおすすめです。

なぜ作品集が必要かというと、本当に好きな絵と出会うには、気になっている作家の作品をまとめて見るのが効果的だからです。一定量の作品を見ることで、その作家の気になる特徴について、あなた自身のイメージをより明確にできます。

その特徴がよく表れた絵が、あなたにとって特別な作品になるはずです。美術館で実物を見る際にも、好きなポイントに集中して鑑賞することができますよ。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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