2022年9月から展覧会「アンディ・ウォーホル・キョウト」が京都市京セラ美術館にて開催(巡回なし)されました。

なぜ京都で、アンディ・ウォーホル展なの?
そんな疑問に、実際の観覧体験(所要時間約100分)をもとにお答えします。
ふりかえる
アンディ・ウォーホルの特徴と代表作
ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルといえば、マリリン・モンローの肖像画シリーズでしょう。
アンディ・ウォーホルの作品の特徴は、1950年後半〜60年代のアメリカの大衆文化、すなわち消費社会の象徴となるイメージの反復にあります。
本展においても、日本初公開の《三つのマリリン》をはじめ、《キャンベル・スープ缶》や《ブリロの箱》といったアンディ・ウォーホルの代表作を観ることができます。
彼がすごいのは、著名人や商品など、日常生活のありふれたイメージをアート作品にしてしまうことです。
「え、こんなのもアートになるの?」
「これ、お店に売ってるものを並べて描いただけでしょう?」
正直なところ、私も最初はそんな感想を抱いてしまいました。
しかし、作品とじっと向き合うと、当時の空気感を鮮烈に放っています。
《三つのマリリン》からはスターの輝きと儚さが、
《キャンベル・スープ缶》や《ブリロの箱》には独立の末にようやく手にしたアメリカの豊かさが、
そして《ツナ缶の惨事》には大量生産の闇が感じられました。
作品との対話が生まれるという点において、ウォーホルの作品はやはりアートなのだと思います。
アンディ・ウォーホルをはじめとするポップアートは、大衆社会のありふれたイメージを利用することで、美術(ファインアート)と日常の垣根を取り払うという点で美術史に残るイノベーションでした。
個人的には、そんな彼の展覧会を楽しむポイントは、「どう描いたか」よりも「何をモチーフにしたか」にあるように思います。
アンディ・ウォーホルが大衆の共通イメージとして何をモチーフに選んだのか。
誰でもできそうで持てない視点がとても興味深いのです。
アンディ・ウォーホルがモチーフにした京都・日本とは?
ウォーホルは、世界旅行で日本を訪れました(東京、京都、熱海に滞在)。
1956年6月から7月、ウォーホルがまだ芸術家として名声を得る前のことです。
本展では、日本文化に触れて制作された作品が展示されています。
ウォーホルは、日本文化の何をモチーフにしたのか。
展示品の中から私がとりわけ印象に残ったものを取り上げます。
《孔雀》
日本美術の影響が感じられる作品です。
孔雀は、縁起の良いものとして、日本美術で最も描かれる生き物のモチーフの一つです。
展覧会「日本美術をひも解く」にもありましたね。
孔雀にはもともと旅行前から個人的な思い入れがあったようです。
しかし、これは私の推測ですが、日本への旅で日本画の孔雀図も目にしていると思います。
孔雀図の一つの完成形が円山応挙の作品。
ただし、応挙の作品は写実的ですが、こちらはにじみ線に風合いのあるイラストです。
金箔を多用しているのは、アジアで目にした金細工の影響だとか。
《波》
この作品は、葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》をモチーフにしています。
《神奈川沖浪裏》は、斬新な表現が印象的な、あの浮世絵の有名な波です。海外でも人気と聞きますよね。
葛飾北斎の名前も、海外で最も知られている日本人画家の一人です。
”ザ・日本作品”のイメージを選ぶあたり、ウォーホルの感覚がよく表れています。
ウォーホルの《神奈川沖浪裏》の切り取り方もまた斬新で面白いと思いました。
《エンパイア》
ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルディングをただ単に約8時間映し続けたモノクロサイレント映画。
この作品は、ウォーホルが龍安寺の石庭を一日中眺めた経験から着想を得たそうです。
京都にある龍安寺方丈庭園(石庭)は、枯山水の代表的な庭園で、白川砂の中に15個の石が配置されているだけのシンプルな構成です。
しかしながら、不思議なことに、どの位置から見ても15個の石全てを見渡す事ができません。
いつ、誰が、何のために作庭したのかについては不明で、観る人それぞれに解釈が委ねられています。
庭園を見る行為にある、移り変わる時間や自然に対する日本人の美意識を、アメリカのランドマークを利用して作品に落とし込んでいるように私は感じます。
庭園を眺めるように、映像にしばらく見入ってしまいました。
他にも、京都旅行中に描かれた舞妓や僧侶、清水寺のスケッチなど、ウォーホルの眼を知る上でとても興味深いものがありました。
まとめ
ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルなら日本文化の何にインスピレーションを受けるのかを知る機会でもある今回の展覧会。
それを日本文化の色濃い京都の地で観覧できるのはとても有意義な体験だと思います。
美術館を出たら、ウォーホルの眼を意識しながら京都を散策してみてください。
”知っているけど新鮮な”風景が目に映ることでしょう。
この秋冬に京都へ訪れる際には、ぜひ足を運んでください。
この記事がアンディ・ウォーホル展を楽しむための一助になれば幸いです。
アンディ・ウォーホル作品は、ありふれたイメージの選択が面白い
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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